QOL向上ー上質な人生の礎ー 仕事・組織論 読書・視聴ノート

『SINGLE TASK 一点集中術』の読後ノート

眠れるしし

  • 物事に集中しきれない 
  • やる事が多過ぎて忙しすぎる! 
  • いざ自分の仕事を始めようとすると決まって他人から頼まれ事をされる

そういった悩みを解消する為にシングルタスクを勧めているのはデボラ・ザックの『SINGLE TASK 一点集中術』。

本書を通読する事でシングルタスクに精通し、マルチタスクの誘惑に打ち克てば
「いま、ここ」を優先し一度に一つの作業に一点集中出来るようになるだろう。

マルチタスクは幻想である。


人はなぜマルチタスクの誘惑に負けてしまうのかその理由は以下の二点に集約される。
  • 他人軸や義務感によるまやかし
  • 自分を疲弊させる事で安堵したい

なので、マルチタスクを誘惑してくるもの、とりわけ他者に対してハッキリと「ノー」を言えるようになるべきだ。
「ノー」と他者の要求を拒んでも、時間を限定し眼前の作業に専心没頭する。
そうして結果を出せば、拒絶した事により損なう一時的な信頼よりも大きな信頼を得られるようになる。

その為には隙きあらば山積みになりかねない数多のタスクに優先順を付け、それらの中から重要な少数バイタル・フューを見極め、雑多な多数トリビアル・メニーを後回しにする覚悟が必須だ。
重要度が同等のタスクが同時期に発生した場合、「いま、ここ」で対応可能な方に誠心誠意対処し、対応不可な方は「いつか、どこか」をメモして一時的に除外する。そうしていけば「ノー」と拒否する覚悟が磨かれていく。

「一点集中」の為の具体的な方法


「いま、ここ」に一点集中する為、本書で説かれている具体的な方法の中で、以下の三点が特に私の心に残った。
  • パーキングロット
  • 結びの一言
  • 1×10×1システム
これらを少しずつでも日々の生活に取り入れればやがて物事に優先順位を付け、然るべき「ノー」を言えるようになるだろう。

パーキングロット

公私混同は良くない事だと昔から言われている。だが、おおやけは公のみによって成り立っておらず、わたくしは私によってのみによって成り立っている訳でもない。
必然的に混じり合わざるを得ない両者にあって、どちらか一方に肩入れせねばならぬ状況は多々ある。とりわけ公の職場で私の感情、なかんずく嫌悪を顕にするのは我が国においては忌避される。
そうであっても職場で職場以外の事を考えてしまったり、自宅でついつい空想に耽ったりしてしまうものだ。職場で仕事のことだけに集中したり、自宅で自分のことだけに没頭するのは難しい。そんな綺麗事は瞑想を極めた禅僧にだってきっと無理難題だ。

そこで役に立つのがこの「パーキングロット」である。
「いま、ここ」の作業に関係ない事を思いついたらメモして忘れる事。「パーキングロット」とは「駐車場」の意。
現在の作業と無関係な事柄に心惹かれそうになってしまったら、すかさず「パーキングロット」に書き留めて忘れる。すぐに書き込めるものなら紙でも電子でも媒体は問わない。

アイデアが閃いたり、重要事項を思い出しても、それが現在の作業と無関係なら、そちらに注意を逸らしてはならない。
「パーキングロット」に書き留めてすぐに本来の作業に戻るようにする。
但し、付箋やレシートの裏などに書き留めると紛失しやすいのでしない方が良い。
そういったチラシの裏なんかに走り書きするのは行きずりの路上駐車するようなもので、紛失や忘却といった減点や違反切符を切られてしまっても文句は言えない。安物で良いのでメモ帳を用意し然るべき駐車代金を支払うべきだ。

結びの一言


自分の人生に「一点集中」する為には、電子メールの応酬ラリーをこちらから積極的に終わらせるように働きかけるべきである。
その為には以下のような文言をメールの末尾に書き込んでおくと良い。
  • 返信 は不要 です。
  • ありがとうござい ます。 これ で、 本日 の 業務 は 終了 となります。
  • なんらかの 変更 が あっ た 場合 のみ、ご返信下さい。
  • ○ ○ さんに おまかせします ので、 私 に 同報 メール は不要です。
  • それでは当日よろしくお願いします。
  • 詳細は、担当の~さんと詰めて下さい。
  • これより数刻オフラインとなります。あしからずご了承下さい。

「1×10×1」システム


タスクが山積みになった場合、以下の手順で捌けば慌てずに対処できるようになると著者は説く。
  1. 「1分間前後で片付けられるタスク」に今すぐ着手する
  2. 「10分以内で片付けられるタスク」を特定し、なるべく早い時間に取り組む
  3. 残るのは「片付けるのに1時間か、それ以上かかるタスク」となり、今後数日以内の予定に組み込むようにする。
また、このシステムを用いる為に一日に二回の「空白タイム」を前もってスケジュールにして厳守すべきだとも述べている。
そうしてタスクの山を何度か崩していけば、自分にとっての重要な少数バイタル・フュー雑多な多数トリビアル・メニーを見極め優先順をつけるのが上手くなり更に一点集中しやすくなるだろう。

まとめ


マルチタスクで人生のパフォーマンスが高まるというのは幻想である。その誘惑に負けると成果を挙げられなくなってしまう。
人生のパフォーマンスを高める現実的な対処法はシングルタスクに他ならない。
シングルタスクに没頭するにはマルチタスクの誘惑に打ち克ち、TPOに応じた「ノー」を言えるようになる必要がある。その為の具体的な方法は主に以下の通り。
  • パーキングロット──思いつきはメモを書いて忘れる。
  • 結びの一言──「ラリー」を終わらせる意志を伝えて無駄を予防する。
  • 「1×10×1システム」を用いてタスクを仕分けする。その為に「空白の時間」を予定しておく。

所感

本書は題名に「SINGLE TASK 一点集中術」と銘打っている。それは同時に「MULTI TNEPTATION 雑多除外術」でもあると私は感じたし、直接そう言及せずとも本書では手を変え品を変えその手法があれこれ書かれているなとも思った。
辞書的な定義では集中の対義語は点在だとされているが、私はそれに加えて除外もそうであるとここで提唱したい。

「一点集中」しきる為には然るべき「ノー」を言わねばならない。否を伝える必要があるのは自分の内外両方だ。
マルチタスクを著者が「狂気の沙汰」呼ばわりまでしているのは言い過ぎだと私は最初感じていたが、本書を読み進め実践していき生産性が上がっていくに連れ、著者がそう書いてしまうのも宜なるかなと思った。
マルチタスクの誘惑はあまりにも魅力的だ。仕事をしている気になって自分を疲弊させていると気が付かなくなってしまうほどに。
それらの誘惑に打ち克つ理念と手法が網羅されている本書を是非一度手にとってこの素晴らしいシングルタスクの世界を知ってほしい!

私達の幸福や成熟の礎になる事を願って 枕本より
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枕本康弘

弱者に甘んじられぬ男一匹・絶滅危惧種、その軌跡のドキュメンタリーブログ。高校卒業後、何度もうつ病や適応障害を患い職を転々とする日々。三十代に入り病院で検査したら発達障害ADHDと発覚。人生のどん底で打ちひしがれても、心理学や自己啓発・ライフハックなどの情報を読み漁り、試行錯誤を繰り返す。それらから得た気付きをブログで公開。かつての自分と似通った境遇の人々の一助となる為、日々奔走している。

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